Category: レーザーダイオード

半導体レーザ(LD:Laser Diode)

半導体レーザ(LD:Laser Diode) レーザとは、「Light Amprification by Stimulated Emission of Radiation」の頭文字を取ったLASERという造語で、誘導放出により増幅された光を意味します。自然放出による発光がランダムな位相の光となるのに対して、誘導放出では光とキャリアの相互作用により、キャリアの再結合によって元の光と同じ波長、同じ位相の光を放出する増幅機能が得られます。よって、レーザ光は、単一波長で、位相が揃った非常に強い光になります。 半導体レーザの基本構造は、発光ダイオードと同様に、ダブルヘテロ構造のPN接合ダイオードとなりますが、レーザ発振を行わせる為に次の三つの条件が必要になります。 ① 高い光学利得② 反転分布③ 共振器構造 まず、①は、発光層が直接遷移型の半導体材料であり、キャリアの再結合で直接発光を得られる構造であることが必要です。次に、素子に電流を流して発光層にキャリアを注入すると自然放出による発光が始まる一方で、発光層の中では発光と逆のプロセスで光吸収も起きています。素子の駆動電流が小さく、発光層のキャリア密度が小さい状態では、発光よりも吸収が支配的となっています。一定値以上の電流を流して熱平衡状態よりも多くの電子、正孔を発光層に蓄積し、誘導放出による増幅作用を持たせた状態を反転分布状態②と呼びます。レーザとして動作させる為には、更に③の共振器構造が必要となります。素子内で増幅された光を共振器構造で内部に閉じ込めて次々と増幅を行うことでレーザ発振に至ります。共振器子構造としては、2枚の反射鏡を互いに向い合せた構造が一般的です。誘導放出は、光とキャリアの相互作用である為、キャリアを閉じ込めた発光層に光も集める必要がありますが、前述のダブルヘテロ構造を取ることで発光層に光を閉じ込める効果が得られます。一般に半導体材料は、同種の材料系では禁制帯幅が小さくなる程、屈折率が大きくなる傾向があります。一方で光は、屈折率が高い所に集まる傾向があります。ダブルヘテロ構造では、発光層の禁制帯幅が小さく、屈折率が高くなることから、キャリアと同時に光も閉じ込めることができ、効率の良いレーザ発振動作が実現できています。尚、レーザの専門用語では、キャリアの再結合で光を生じる発光層を活性層、また、活性層を挟む両側の層をクラッド層と呼んでいます。これは、光ファイバのように光を閉じ込めて伝搬させる光導波路構造において、高屈折率の光を閉じ込める層をコア、その外側の低屈折率層をクラッドと呼ぶことからきており、半導体レーザには光導波路の機能も備わっていることを意味しています。 半導体レーザの特徴半導体レーザの主な特徴として、次の4点が挙げられます。 単一波長のコヒーレントな光小型・軽量低消費電力、高効率高速応答、直接変調が可能光の単色性は、レーザ光の持つ特性の一つです。太陽光やランプ光源の光が色々な波長の光を含み、非常にブロードな波長スペクトルを示すのに対し、発光ダイオードでは波長幅が非常に狭いスペクトルとなります。これに対して、特定の波長の光を共振・増幅するレーザでは、単一波長の光を得ることができます。例えば、映像を表示する際には、RGBの三原色で様々な色が表現されています。ランプや白色LED等の白色光源の光をフィルタでRGBの三原色に分離し、表示色を制御する方法が一般に行われています。ただ、この方法では、RGBの各色が一定の波長幅をもっており、それらを重ね合わせても全ての色を表現することができません。これに代えて、RGBの三色のレーザ光源を利用すると、より鮮やかで色再現性・演色性に優れた映像が作れるようになります。

レーザーダイオードについて

レーザーダイオードについて 光半導体とは光半導体とは、電気を光に変える発光素子、あるいは逆に、光を電気に変える受光素子のことを指します。光半導体の具体例としては、発光素子では発光ダイオード(LED : Light Emitting Diode)やレーザダイオード(LD : Laser Diode)、受光素子としては、フォトダイオードや太陽電池、CMOSイメージセンサー等があります。また、光ファイバ通信に使われる光変調素子や、電気的に絶縁された回路間で情報伝達を行うフォトカプラーのようにこれらの素子を組み合わせた複合型の素子も光半導体に含まれます。 表. 光半導体の例 種類 光半導体素子の具体例発光素子 発光ダイオード、半導体レーザ受光素子 フォトダイオード、太陽電池、CMOSイメージセンサーその他 光変調素子、フォトカプラー、光スイッチ 半導体材料は、禁制帯幅という固有のエネルギー値をもっており、材料によって受光・発光の機能や取り扱える光の波長範囲が決まります。発光素子では、GaN系、AlGaInP系、GaAs系、InGaAsP系等の直接遷移型の化合物半導体材料が使われます。また、受光素子の半導体材料としては、直接遷移型と間接遷移型のいずれも利用することができ、900nm帯以下の可視光~近赤外域の波長帯ではSi、Ge等の単元素半導体材料が、1μm以上の波長帯の受光・検出にはInGaAs系の化合物半導体が主に用いられています。 TigerPWR(株)では、光半導体製品として、365nm~1,300nmの各種波長帯の発光ダイオードと、375nm~852nmの各種波長帯の半導体レーザを取り扱っています。 発光素子について半導体発光素子の基本構造は、化合物半導体材料を用いたPN接合のダイオード構造をもっています。PN接合に順電圧を掛けると、P型の半導体中では正孔が、N型の半導体中では電子が移動することで電流が流れます。これらのキャリアは、PN接合部に注入されて、電子と正孔が再結合する際に、半導体材料の禁制帯幅に相当するエネルギーを放出します。接合部に直接遷移型の半導体材料を用いている場合は、このエネルギーの大部分を光として放出します。一方、SiやGeのような間接遷移型の半導体の場合には発光が非常に弱く、ほとんどが熱に変わります。それ故、効率のよい発光素子を実現する為には、直接遷移型になる化合物半導体材料が用いられます。 発光ダイオード(LED:Light…